患者におけるコンプライアンスが分かる5つのポイント!

医療事故や医療過誤で裁判に発展することが増え、医療の現場でもコンプライアンスの重要性が高まっています。

看護においても重要な意味を持つコンプライアンスの定義やその実施方法、コンプライアンスと対角に位置するノンコンプライアンスなどについて紹介します。

コンプライアンスとは

そもそもコンプライアンス(compliance)とは「要求や命令に従う」という意味で、日本では法令遵守という使われ方をすることが多いようです。

特に企業において、法律だけでなく倫理や道徳などの社会規範も含めたルールを守って活動するといった意味合いで使われています。

医療の現場、病院などの医療機関や介護施設も一企業として組織のコンプライアンスを重視しなければなりません。

それとは別に、医療において独自に用いられる「コンプライアンス」があります。

患者さんが治療方法や薬の服用方法を守るという意味で使われます。

医師や薬剤師の指示に従って治療や服薬に関するルールを遵守するというコンプライアンスの考え方から一歩進んで、患者さんがそれを理解し積極的に取り組んでいくという意味で使われるアドヒアランスという言葉もあります。

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患者におけるコンプライアンス

医師や薬剤師の指示や指導の通りに患者さんが服薬するかどうかを管理するのは看護師の役目ですが、患者さんが正しく服薬できていれば「コンプライアンスが良好」といった表現がされます。

また、○○日まで安静にする、飲食はしないといった行動制限を守るかどうかもコンプライアンスに含まれます。

薬の管理に関することを特別に「服薬コンプライアンス」と呼ぶこともあります。

言い方は悪いかもしれませんが、コンプライアンスは医療従事者が患者さんに指示を守らせるといった意味合いが強かったようです。

インフォームドコンセントが普及して必要性が高まることで、患者さん自身が治療方針や服薬方針の決定に関与し、積極的に取り組んでいく「アドヒアランス」という評価法が重視されつつあります。

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コンプライアンスを実施する方法

続いては、看護師さんが病院で服薬コンプライアンスを実施するポイントを紹介します。

薬の説明

患者さんが正しく服薬するためにまず大切なのが、服用する薬がどういうものか正しく知ってもらうことです。

薬効や副作用、用法や用量、服用する上での注意点といったことです。

患者さんが看護師任せにならないよう、患者さん自身が薬のことを正しく知ったうえで服薬してもらえるように分かりやすく説明することが大事です。

服薬時間

服薬の時間に関しても、さまざまな指示があります。

よくある服用時間の指示ですが、意外に間違った服用をする患者さんも多いのが事実です。

一般的な食前・食間・食後の服用時間は下図の例のようになります。


出典:中外製薬「食前・食間・食後について」

どうしてその服用時間なのかをしっかり伝えることが大切です。

飲み忘れや誤薬防止

用法や用量、服薬時間が異なる複数の薬を処方されている患者さんは、飲み忘れや誤薬が起こりやすいものです。

服薬に関するエラーを減らすには、服薬ボックスやお薬カレンダー、アラームなどを使うなど工夫も大事です。

ノンコンプライアンスとは

患者さんが薬を飲み忘れたり、用法や用量を間違えたり薬を取り違えたりすることをノンコンプライアンスと言います。

以前は、ノンコンプライアンスは患者さん側の問題と受け止められていたため、コンプライアンスを向上させる対策が積極的に取られていませんでした。

前述のように、インフォームドコンセントの考えが普及するにつれて患者さんが自分の意思で治療に参加するという概念のアドヒアランスが重視されるようになってきました。

ノンコンプライアンスの場合の対処法

患者さんと医療従事者双方にとって困った問題であるノンコンプライアンスの具体的事例とその対象法をいくつか紹介します。

◆ケース1
複数の科を受診し多くの薬(11種類)を服用している女性。
自己管理では整理がつかず、多くの飲み残しがあった。

薬用ボックスを作製し整理することで服用状況が劇的に改善した。

出典:居宅介護支援事業所管理者研修・公益社団法人 日本薬剤師会

◆ケース2
退院後、診察に来た血圧の高い70代女性患者さんが、処方された降圧剤(ブロプレス)を自宅で飲んでいなかったので話を聞いたところ、以前服用していた降圧剤で副作用が強く出ていたため、今回も怖くて飲まなかったとのこと。

患者さん自身の治療への思いや、生活上の悩みを聞いたうえで薬の薬効や副作用などを丁寧に説明することで服用につながった。

国家試験・過去問題

ノンコンプライアンスについての問題を、看護師試験の過去問題から紹介します。

第93回看護師国家試験 午前問題 問81
ノンコンプライアンス状態の患者への対応で適切なのはどれか。
1.看護師が目標を設定して患者に示す。
2.疾病や治療以外の話題は避ける。
3.患者自身の責任を強調する。
4.病気についての受け止め方を知る。

  

  

正解 4

法令遵守は言うまでもありませんが、患者さんに寄り添ったコンプライアンスを目指しましょう。