必要性が高まっているインフォームドコンセント 実施の仕方や根拠が分かる!

診療内容や治療方法などを医師が患者に説明し、患者がそれを理解し同意することをインフォームドコンセントと呼びます。

一般の方々にも理解度が広がっている「インフォームドコンセント」という言葉ですが、日本語では「説明と同意」と表現されることが多いようです。

Informed=知らされる、情報に通じたという言葉と、consent=承諾する、同意するという単語を組み合わせた熟語です。

今回は、インフォームドコンセントについてリサーチしました。

インフォームドコンセントの基本的な情報から、その重要性や実施までの流れ、注意点などを紹介します。

インフォームドコンセントって何?

日本語では「説明と同意」と表現されることが多いインフォームドコンセントは、医療法の第1条の4第2項「医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない。」が法律的な根拠とされています。
出典:医療法(厚生労働省)

また、日本看護師協会の看護実践情報・倫理的課題の概要では、「インフォームドコンセントとは、患者・家族が病状や治療について十分に理解し、また、医療職も患者・家族の意向や様々な状況や説明内容をどのように受け止めたか、どのような医療を選択するか、患者・家族、医療職、ソーシャルワーカーやケアマネジャーなど関係者と互いに情報共有し、皆で合意するプロセスである。」と定義されています。

つまり、医療従事者が必要な情報を説明し、患者さんがそれを十分理解したうえで双方の合意によって成立するもので、説明・理解・合意の3つのうちどれが欠けても成立しないのがインフォームドコンセントだと言えます。

インフォームドコンセントの必要性について

そもそもインフォームドコンセントの根源とも言える考え方が認められたのは、ナチスドイツによる人体実験の反省からまとめられた「ニュールンベルグ綱領」でした。

通常の医療行為でのインフォームドコンセントが認められるきっかけとなったのが、アメリカ・カリフォルニア州で出された医療過誤裁判のサルゴ裁判(1957年)の判決です。

医師が患者に十分な情報を開示する責任があると認めた判決です。

その後日本でも、エホバの証人輸血拒否事件(1992年)で、手術の際に輸血をしないよう求めた患者の希望を入れず、輸血を行った医師らを訴えるという裁判(1997年)がありました。

最高裁まで争われた結果、患者の自己決定権は守られなければならないと医師側敗訴の判決が出されました。

手術に関する説明への同意書と同時に、輸血による説明と同意書が作成されるのは、この最高裁判決が影響していると言えます。

インフォームドコンセントの必要性

なぜインフォームドコンセントが必要なのか?

患者さんの側からは、自分の病状や治療についての「知る権利」を満たすためであると思われます。

医療従事者の側からは、無用な係争を避けるために必要な手順と考えられます。

医療訴訟は減少傾向にありますが、裁判によらない解決方法の増加や医療事故報告件数の増加があり、医療従事者や医療機関にとって、決して他人ごとではありません。

医療従事者・患者のどちらにとっても、インフォームドコンセントは重要な問題と言えそうです。

インフォームドコンセントの実施までの流れ

続いては、実際にインフォームドコンセントを行う具体的な流れを紹介します。

◆場所
診察室や専用の部屋など、プライバシーが十分保たれる落ち着いた場所で行います。

◆実施する者
主治医や担当医が説明を行い、看護師やほかの医療スタッフ等が同席することが多いようです。
また、患者さんサイドからも家族などの同席者がいることが望ましいとされています。

◆説明の方法
病名や病状、治療や検査の内容や期間、リスクなどを具体的に説明します。
その際、口頭での説明と文書や図式、画像や映像などを用いて分かりやすく説明します。

◆同意書
説明を理解した旨を記載した「説明同意文書」に説明医師や医療機関側同席者、患者さんと患者さん側同席者の全員が署名します。

◆セカンドオピニオン
他の医療機関や医師の意見も聞きたいという患者さんには、患者さんに関する医療情報を、セカンドオピニオンを担当する医師や医療機関に提供可能であることを伝えます。

多くの医療機関でインフォームドコンセントに関するガイドラインやマニュアルが作成されています。

具体例として、大阪府の近畿大学病院のガイドラインを挙げます。

近畿大学ホームページ:インフォームドコンセント・説明と同意に関するガイドライン

注意する点はここ!

インフォームドコンセントを実施するうえで、注意が必要な点をいくつか紹介します。

◆同意能力
患者さんが未成年であったり、正常な判断が難しいと思われる精神障害患者や認知症患者であったりといった場合に関しては、配偶者や家族、後見人などの本人の意思を代弁しうる第三者が同意や決定を行うこともできます。

◆患者さん本人と家族の意思が食い違う場合
原則として患者さん本人の決定が優先されますが、治療や闘病に関しては家族の理解・協力が必要なため、意見が一致することが望ましいようです。

◆急変時などの緊急対応
緊急時には本人や家族の意思を確認できない場合でも、適切と思われる医療行為を直ちに実施することがあることを伝えておきます。

◆治療拒否される場合
患者さんには治療を拒否する権利がありますが、その結果、致命的な事態に陥る可能性がある場合患者さん・家族としっかり協議することが重要です。

◆医学的に妥当ではない治療を希望する場合
患者さんや家族が、医学的あるいは社会的や法的に妥当とは言えない治療を希望する場合には、妥当ではない理由やそのリスクなどをしっかり説明することが必要です。

◆医療過誤や医療事故発生時
万が一、医療行為によって被害を生じた場合には、本人や家族・遺族に原因や経緯を説明し誠実に対応することが大事です。

全ての患者さんには「安全で安心な医療」を享受する権利があり、医師・医療機関にはそれを提供する義務があります。

患者さんの権利のひとつである「インフォームドコンセント」をきちんと実施することは、患者さんだけでなく医療機関にとっても重要で有益であると言えるのではないでしょうか?