現在、慢性疾患による患者数が増加傾向にあります。
その中で、透析が必要な患者数も年々増加傾向にあります。
これにより、透析室のニーズが増加しています。透析室看護師のニーズも増加傾向にあると言えます。
今回は、透析看護師がどのような業務をしているのか、これから透析看護師を目指す方に押さえていただきたいポイントを紹介します。
そもそも透析ってなに?

人体には腎臓という臓器があります。老廃物や人体にとっての毒物を血液中からろ過し、体外に排出する役割があります。
しかし腎不全などの原因で腎機能が低下すると、有害物を体外に排出することが難しくなります。その時に腎臓の代わりに有害物を人工的に血液からろ過するのが透析です。
透析にはオンラインHDF療法、血液透析療法、腹膜透析療法がありますが、「透析室で働く看護師」というのは主に血液透析に関する看護を行う看護師のことを言います。
透析看護師って何するの?

透析看護師の役割は多きく分けて4つあります。
①透析の準備・実施
透析は専用の機械を用いて行うので、透析を行う前にその準備をします。患者が来院したらバイタルサインを測定して体の様子をチェックしてから透析を実施します。そして血液透析用の血管(内シャント)に針を穿刺し、血液の回路を接続し血液浄化を開始します。透析が終了したら針を抜去し、穿刺部位の止血をします。
②透析中の患者の看護
血液透析を行うと、不均衡症候群や低血圧などといった多くの合併症を伴うことがあります。合併症の発症や予兆はないか、体調不良を訴える患者がいないかどうかを観察します。
③患者の健康管理・生活指導・精神面のケア
透析を受ける患者は腎機能が低下しているため、悪影響が体に出やすくなっています。そのために体重や食事、活動や内シャントの管理など、患者自身で管理していかねばいけません。管理が正しく行われているかを確認し、正しい知識を用いて適宜患者と調整を図るのが看護師の役割です。
また透析は長い付き合いになることが多いので、ストレスがたまりやすいです。患者の話を聞いて少しでも治療を継続できるような介入をしていく必要があります。
・透析看護師の1日の勤務例
8:00 | 出勤準備 着替えなど |
8:30 | 勤務開始 機器の準備をまず行います |
8:40 | 患者さん入室 入室患者さんの状態観察 |
8:50 | 申し送り 患者さんの情報をスタッフで共有します |
9:00 | 穿刺 透析するための2本の血管に針を刺します |
10:00 | バイタルチェック 副作用が出ていないか、体に異常をきたしていないかを確認します |
11:00 | ミーティング 患者さんの状態を報告し、医師から指示を受けます |
12:00 | 患者さんの昼食 |
12:30~ 13:00 | 看護師の休憩 |
13:00 | 返血 浄化した血液を患者さんの体内に戻します |
14:00 | 患者さんの退室 使用したベッドのシーツ交換を行い、記録をします |
15:30 | 休憩 |
16:00 | 記録・勉強会・委員会・次の透析のフォローなど |
17:00 | 業務終了 |
透析看護師の働く場所と働き方

透析看護師が働くことのできる場所は主に病院の透析室や透析を行っているクリニックになります。
興味があれば、お近くのクリニックや病院は透析室を設けているのか調べてみるのも良いと思います。
働き方は、幅広いです。透析室は日勤中心の職場なので、時短勤務のアルバイト・パート・派遣など働き方を選びやすいことが全体を通して思われます。
透析看護師の気になる給料は?
求人サイトを見てみるとパートの場合、平均給与は1500~1600円でした。多くて2000円のところもあるようです。
一方常勤の場合、平均給与はおよそ450万円でした。しかし夜勤の有無によって手当の有無で決まるので、夜勤ありの場合のほうがやはり高くはなっています。
透析看護師のメリット・デメリット

メリット
・透析のスペシャリストを目指せる
透析室は透析関連が主な業務内容となっているので、透析看護を極めることができます。スペシャリストを目指している方にお勧めです。
・体力的に楽
透析は基本透析室というワンフロアで行われるので、たくさんの部屋を行ったり来たりすることが少ないので、病棟勤務よりも楽といわれています。
・残業が少なく、土日休みのことが多い
透析は予約患者がメインなので、残業が少ないようです。また、平日のみのクリニックもあります。
デメリット
・患者とのかかわりが難しいことがある
患者は透析が必要であり、命に直結しているために張りつめている方もいるようです。また、患者は死ぬまで透析を続けなくてはなりません。苦手な患者さんがいるとストレスになることもあります。
・一般知識が薄れることがある
透析看護は他科を見ても同様の業務形態をしていないので特殊な業務といえます。それゆえ透析に関する知識は深まりますが、一般的に行われている看護からは遠ざかってしまうので、透析以外への転科・転職が難しくなることがあるようです。
・人間関係のトラブルが発生しやすい
透析室はワンフロアであることが多いため、ほかのスタッフや患者との関わりが目に入りやすいために人間関係のトラブルが発生しやすいという特徴があるようです。
どの職場にも言えますが、それぞれの雰囲気や人間関係があるので、実際に見学してみて自分に合っているのかを検討するのもいいかもしれませんね。
1つの転職の選択肢として透析室があるといいと思います。
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