看護という仕事は、患者さんと関わることが大前提です。
その患者さんとのコミュニケーションが難しいという看護師さんも少なくありません。
今回は「患者さんとの付き合い方」についてリサーチしました。
どういった看護師が患者さんにとって良い看護師なのか、患者さんとの距離感、乗り越えなければいけない患者さんの「死」についてなどを紹介します。
あなたはどう思われている?
患者さんから見た良い看護師とは

看護師さんは一生懸命、患者さんの看護・ケアをされていますが、患者さんの目にはどう映っているのでしょうか?
患者さんが看護師さんの仕事ぶりや、患者さんへの接し方で感じていることをいくつか挙げてみましょう。
まずはポジティブな印象から紹介します。
- 優しい
- いつも笑顔
- テキパキしている
- エネルギッシュ
次にネガティブなイメージを紹介します。
- いつも疲れている
- 言葉遣いや患者の扱いが雑
- 看護師同士で反目している
- 怖い
人手不足や業務の多さから、理想の看護ができない事もあるかもしれません。
良い看護師とは?
患者さんにとって良い看護師とはどういった人でしょうか?
日本生命倫理学会の第17回年次大会で発表された患者から見た「よい看護師」:その探求と意義から「よい看護師」の特質を見てみましょう。
◇よい看護師の特質
- 人としての関わりができる
性格や雰囲気がよい
人としての顔を見せる
人としての患者・家族に関心を持つ
人としての患者・家族を大切にする - プロとしての関わりができる
専門職者としての能力
プロ意識
がん患者26名を対象にしたこの調査では、いつも明るく笑顔で患者や家族に寄り添うプロ意識の高いナースがよい看護師の要素だとされています。
患者さんとの距離感の取り方は

患者さんとのコミュニケーションで、患者さんとの距離感が難しいと感じる看護師さんも多いようです。
患者さんによって性格も様々なので、このくらいの距離感といった正解はありません。
コミュニケーションを続けていくうちに、この患者さんはこのくらいの距離感で、といったボーダーラインが見えてくるはずです。
近すぎると「なれなれしい」と感じ、遠すぎると「よそよそしい」と感じてしまいます。
親しく接することは必要ですが、踏み込みすぎないように節度を守ることが大事です。
また、患者さんが心を開いてくれないからと言って、突き放してしまうのはNGです。
良好な関係を築くために

続いては、適切な距離感で良好な関係を築くためにどうすれば良いかを紹介します。
接し方のコツ
まずは患者さんを理解することから始めましょう。
性別や年齢といった基本的な情報はもとより、患者さんの性格や価値観も理解するように努めましょう。
その上で患者の話を良く聞いて、理解と共感を示してあげましょう。
患者さんが求めていないのにアドバイスや意見をしたり、患者さんの話を否定したりすることはやめましょう。
具体的な行動
アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが提唱したメラビアンの法則があります。
話し手が利き手に与える影響は、言語情報・聴覚情報・視覚情報の3つがあり、その影響力は7:38:55なのだそうです。
コミュニケーションにおいて、声の大きさやトーンなどの話し方や、身振り手振りの態度や表情などの方が言葉そのものより重要なのです。
伝えたいこと話したい事は、話すときの表情やボディーランゲージに注意して話せば、より患者さんに伝わるということです。
様々な状態の患者さん達

看護の対象である患者さんにはいろいろな状態の人がいて、患者さん一人ひとりに合った対応が必要です。
たとえば認知症の患者さんに対しては、患者さんのペースを大事にする、プライドを傷つけない、孤独を感じさせないなどの配慮が必要です。
余命が短い、つまり死を近しく感じている患者さんは恐怖や不安・無力感といった感情を抱えています。
そういった患者さんには、安心感や満足感を与えられるように、共感したり心に寄り添う言葉をかけたりすることが大事です。
精神的に不安定になっている患者さんには、まず安心してもらうことが大切です。
患者さんの話に耳を傾け、つらい気持ちを理解しようと努めましょう。
また、頑張れといった言葉や否定の言葉は言わず、静かに見守ってあげましょう。
患者さんからのハラスメントがあった場合どうすればいい?

看護をする際に患者さんから暴言や暴力、セクシャルハラスメントなどを受けることもしばしばあります。
そういった場合には、師長などの上司や運営に相談することが必要です。
女性が多くを占める看護師さんに取って、セクハラは厄介な問題です。
相手が患者さんだからと、我慢したり見て見ぬふりをしたりする看護師さんも少なくないかもしれません。
そういった態度は相手を増長させ、さらなる被害者を生むこともあります。
セクハラだということをしっかり伝えましょう。
看護師さん体験談
夜勤巡回しているときに、男性患者さんから悪質なセクハラまがいの事を頼まれました。
拒絶すると暴言を吐き、私の事を罵りました。
師長に報告したところ、できるだけ男性看護師が対応することになり、それ以上の被害はありませんでしたが、看護師(特に女性)が軽く見られたことが悔しいです。
避けては通れない、死を乗り越えるためには

はじめて患者さんの死に直面した看護師さんは、動揺しショックを受ける人も多いと言います。
喪失の悲しみを「グリーフ」と言い、医療従事者に起こる悲しみは「プロフェッショナル・グリーフ」と呼ばれます。
このプロフェッショナル・グリーフが積み重なると、体のだるさや不眠症、集中力の欠如や虚無感などの肉体的・精神的に様々な症状が現れます。
また、燃え尽き症候群につながってしまうこともあります。
これを乗り越えるためには、信頼できる人に相談したり好きな事をする時間を作ってリラックスしたりといった精神的なケア。
そして、健康的で規則的な食事と充分な睡眠での休息、適度な運動をするなどの肉体的なケアを行いましょう。
患者さんの視点や立場に立った「看護」とは何か?を今一度確認し、良い関係を築けるように努力しましょう!
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