知っておこう!医療事故の基本

病院や診療所などの医療機関で働いて、手術による患者の死亡や、看護師の些細なミスなど、

思いもしない事故が起こった経験はありませんか?

ここでは、そんな医療事故の基本についておさらいしましょう。

医療過誤と医療事故の違いや、対策などについては

看護人生を左右する!医療事故と医療過誤について』をご覧ください。

医療事故とは

医療事故とは、医療機関で医療従事者が提供した医療により、予期せず死亡・

死産したことを指します。

医療法(法6条の10)によると、

医療事故は「当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であって、当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかったものとして厚生労働省令で定めるもの」と定義されています。

(参考:厚生労働省「医療事故の定義について」)

医療事故の判断

「院長などの管理者が医療事故かどうかを判断すること」

と医療法で定められています。

仮に、遺族から「医療事故調査・支援センター」へ報告をしないように言われたり、

医療事故かどうかの意見が一致しなかったりした場合でも、管理者はセンターへ報告を行うことが義務付けられています。

※医療事故調査・支援センター…医療事故についての情報収集、調査、検証等を通して     医療事故防止や医療の安全の確保等を目的とする機関

詳しくは、医療事故調査・支援センターのホームページでご確認ください。

医療事故はなぜ起きる?

医療事故が起きやすい状況と事故後の対応などを見ていきましょう。

発生頻度の高い主な状況(一例)

  • 診療科…外科、内科、消化器科、整形外科
  • 起因する医療…手術(分娩を含む)、処置、投薬・注射(輸血含む)など
  • 時間帯…14時から15時台が発生件数が多い

※表は下記の報告を参考に、独自で作成したグラフです

(参考:「医療事故調査制度開始 1 年の動向」平成 28 年 11 ⽉⼀般社団法⼈          ⽇本医療安全調査機構)

時間帯が不明→医療事故の報告書に、医療発生時間が記載されていない、           または時間帯が分からないと書かれているもの

医療事故後の対応

事故発生後の主な流れ(例)

患者の救命・救急処置

   ↓

連絡・報告(院内・ご家族・センター)

   ↓

事故調査会による院内調査

   ↓

遺族へ説明

   ↓

過失があった場合…病院として謝罪

過失があったか不明な場合…経緯を説明

   ↓

センターへ調査結果報告

今後、二度と事故が起こらないようにしなければなりません。

事故が起きた経緯を振り返り、なぜ事故が発生したのかを把握しましょう。

事故の記録をして、改善するためにどうしたら良いか、具体的に示す必要があると思われます。

日本医師会が公開している「医療従事者のための医療安全対策マニュアル」や、

各医療機関にも対応のマニュアルがあると思いますので、

ご自身が所属されている医療機関のマニュアル等をご確認ください。

看護師が関わる医療事故って?

看護師が関与する可能性のある主な医療事故は、どのようなものがあるのでしょうか。

ここで知っておき、医療事故を防ぐ心構えをしましょう。

投薬・輸血

 間違えやすいもの

 ・患者

 ・処方する薬

 ・薬や輸血の量

患者側による事故(飲み忘れ等)である場合もありますが、看護師側による事故もあり得ることなので注意しましょう。

手術

 間違えやすいもの

 ・患者

 ・手術器機を用意する順番

 ・検査データ

いずれも、患者を間違えるなどの誤認や、

誤った処置や投薬をしてしまう誤作動による事故が、

看護師の関与によることが多いようです。

上記の項目は、ミスが発生しやすいので特に注意しましょう。

医療事故が発生!どうなる?

医療事故が発生すると、医療事故調査が行われます。

一体どんな調査制度なのでしょうか?

見ていきましょう!

医療事故調査制度の意味

医療事故調査制度とは

「医療事故が発生した医療機関において院内調査を行い、その調査報告を民間の第三者機関(医療事故調査・支援センター)が収集・分析することで再発防止につなげるための医療事故に係る調査の仕組み」のことです。

(引用:日本医療安全機構

制度の目的

医療事故調査制度は、医療安全を確保するために、医療事故の原因・究明に基づいて、再発防止をすることが目的です。

また、責任を追及するためのものではないとされています。

そのため、個人の医療従事者を事故の原因とせず、医療事故が発生した構造的な要因に着目しながら調査を実施するそうです。

調査の流れ

医療事故調査の流れをご紹介します。

調査の結果、原因が明確に分かるとは限りません。

そのような場合もあることを心にとめて置きましょう。

再発防止の目的のため、原因も結果も単純なミスであったとしても、調査項目を省略してはならないそうです。

対象

医療事故調査の対象は、

①医療に起因する死亡または死産であり

②院長などの医療機関の管理者が予期しなかったものだそうです。

医療に起因する死亡・死産

” 医療 ”に該当するかどうか、簡単にまとめてみました。

②予期しなかったもの

死亡・死産が予期されることを

・患者本人やご家族に説明していなかったもの

・診療録に記録していなかったもの

・医療者に聞き取りをし、死亡・死産を予期していたと認めていなかったもの

調査方法

院内調査についてご紹介します。

調査するにあたって、医療機関は医療事故調査等を支援する団体に対して、医療事故調査を行うために必要な支援を求めるものとされているそうです。

原則として、外部の医療の専門家の支援を受けながら調査を行います。

院内の調査について

・診療録その他の診療に関する記録の確認
・医療従事者のヒアリング(聞き取り)

・その他関係者からのヒアリング

・医薬品や医療機器、設備等の確認

・解剖・死亡時画像診断(AI)の判断、実施

・血液や尿等の分析、検査

以上の項目から必要なものの情報収集や整理を行うようです。

調査の過程において、できるだけ公正性、中立性、匿名性などの保護に努めることが大切だと言われています。

具体的な調査方法は各医療機関や、実際の事例によって、調査する方法が異なる場合があります。

まとめ

今回は医療事故の基本について調べてみました。

医療事故の要因や発生しやすい状況などの基本情報から、

看護師が関与する可能性のある医療事故、医療事故調査制度などの細かいことまで振り返ることが出来ましたか?

「そんな間違えはしないだろう」と思っていても、医療事故は誰にでも起こり得ることではないでしょうか。

小さなことからしっかり確認して、

医療事故を防ぎ、医療安全に努めましょう!